機能性の表示規制と事業者責任について(急がれる自主基準)

最終更新: 2019年6月19日


国が成長戦略の一環として推し進める機能性表示食品制度の規制について色々取り沙汰されていますが、この制度、決められた書類を整えて提出すれば、国の審査はなく「事業者責任」のもとで、食品の「機能」を謳えます。「(生かすも殺すも)事業者さんの責任に任せたよ」という制度です。事業者さんはこの制度を十分に享受しているでしょうか?


「事業者責任」においてですから、事業者はそれなりに自主的に取り組む倫理観とでもいうのでしょうか、そういうものが求められるでしょう。

フタを開けてみると届出の大半がSR(systematic review)で占めていました。私の個人的な見解ですが、SRが成分機能の根拠とはずいぶん甘々な制度と思いました。これまでの健康増進法における健食の虚偽誇大広告の科学的根拠は、明確な定義はなかったもののSRはNGで「最終商品」のヒト試験で判断していたからです。結果として、健食の科学的根拠も規制緩和されたことになりました。


制度が始まり、2017.11に騒然となった「葛の花事件」です。これは機能性表示食品でありながら、素材購入者PB(Private Brand)が、素材製造者OEM(Original Equipment Manufacturing)の提供情報の検証を怠り、PB自社製品として売り出した広告の結果であり、PBがもっと「事業者責任」を自覚し広告を検証して販売すれば防げたのではないかと思います。


また、最近「歩行能力の改善」の表現が薬機法規制違反の疑いがあるとされた件は「 届出表示の一部を切り出し強調することで誤認が出る可能性と処方薬の効能との重複などの要因が重なったことが今回の指摘となった 」と厚労省の担当者はあるセミナーで明確に示しました。事業者が「事業者責任」で事前に広告を検証すれば、今後は同様の違反事件は防げると考えます。


特に厚労省の「届出表示の一部を切り出し強調することで誤認が出る可能性がある」との指摘は、今回に限らず、これまでの機能性表示食品の広告全般に「事業者責任」を突きつけられていることに気づかされます。


機能性表示食品制度はトクホと違い、お金も時間も軽減でき、中小企業にはビジネスチャンスともいわれた制度です。小欄でも触れましたが、事業者はこの制度に主体性をもち自発的に切り開いていかなければ「国VS.事業者」の構図は繰り返されるだけで、現状は何も変わらないでしょう。

その解決策として考えられることは事業者による「自主基準」の早急な作成と筆者は考えます。これは事業者相互の健全な運営と共に消費者にも分かりやすく受け入れられる制度となるためにも求められます。


※文中の健食は消費者庁の分類による「いわゆる健康食品」を指します。


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