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「看取り」クライシス!?

最終更新: 2019年11月29日



いよいよ10月の到来、巷では騒然とした中、消費税10%がスタートしましたね。

私事ですが、先月初めに92歳の母が旅立ちました。葬儀等を終え、東京へ戻る帰路でのことです。新幹線の座席のフリーペーパーに「看取りクライシス」の文字。この見出しに何気なく目が行きました。何が「看取りクライシス」なのか?怖っ!

親を見送ったばかりの筆者ですが、その雑誌を手にしていました。サブタイトルは「多死社会が待ち受ける現実」ですと。


(概要 原文のまま)国民の7割は自宅や介護施設での最期を望むが、現実は2割にとどまる。今後は医師や介護人材の不足で、看取りさえできないケースが出てきそうだ。そんな危機的状況を見据え、医療インフラを守り、最期まで暮らせる地域づくりに取り組む人はいる。「死」をタブーにしてきた日本社会は、迫りくる「多死」にどう備え、向き合えば良いのか。


喪中の筆者は、概要を読んで若干、重く、今は避けたい気持ちもなくはなかったのですが、このオドロオドロしいタイトルのオチを知りたくて、長い道中の暇つぶしに「看取りクライシス」を読み進めました。


この特集記事は5つのパートに分かれ、それぞれ専門家によって論じられていました。パート(P)1:「終末期」関連、P2:医師不足、総合医育成の課題、P3:「孤独死」関連、P4:人材難、外国人介護者関連、P5:死の規制緩和論、なかなか読み応えがありました。

各パートは少子高齢化に向き合い、死亡率が出生率を上回る「多死」時代に備えての考察がなされていました。現代の重要な課題ですが、表題の「看取りクライシス」がこの特集を台無しにしているというか、「看取りアルマゲドン」みたいな?!あたかも、読み手に大げさな脅威をあおる印象で引きつけ、避けては通れない問題を揶揄しているようで、現に筆者はこの表題を見たとき、その内容には何の期待も抱きませんでした。

 

今回のような雑誌の表題や電車の中吊広告や健康食品広告も共通していますね。キャッチーな手法はもはや使い捨ての飽和状態です。本当は何を伝えたいのか、表題や広告は無責任な脅しや大げさな言葉を並べるのではなく、問題や課題の本質を真摯に読者や消費者に端的に投げかけなければきちんと伝わらないのではないかと思うのです。面白おかしく消費者を乗せても、それは低俗の域を越えず、いつまでたっても成熟した表現には程遠いのではないでしょうか。

 

筆者の個人的な感想ですが、この特集は「誰も置き去りにしない看取り社会をめざす」内容でした。真剣に議論を展開し、データを駆使し解決策を提示している執筆者の方々は「看取りクライシス」のかげりもなく、高齢者に限らず日本人個々の問題として前向きにとらえることを提案しています。

なのに、この特集は、なぜ「クライシス」という危機的なタイトルにしたのでしょうか?筆者の考え過ぎとしても、こんなやり方は、現在、社会問題化している安易な「あおり運転」さながら無責任であり、逆効果ではないかと感じました。